2022/07/05
グランチアをベースにした発散型運動プログラムにおける脳疲労とストレス改善
教育・研究
代表太刀山は、NHK福岡や西日本新聞や中日新聞で、健康や運動に関することを、またFBS教育コメンテーターとして情報発信をしてきました。現在、NHK福岡はっけんラジオで、体操コーナーを担当中。 また九州大学院ソーシャルインクルーシブデザイン平井康之研究室にて、ヘルスケアの研究を行っています。
労働力人口の減少に加え、新型コロナウィルス感染拡大により、これまで以上に健康に対する意識が変わり、家庭はもとより、企業でも従業員の健康環境の改善が求められる時代になりました。ストレスが高いであろう医療福祉従事者の方々を対象に脳疲労の改善効果を検証しました。
令和2年度 Sport in Life 推進プロジェクトの研究として、MIKI・ファニットでは、九州大学医学部 藤野武彦名誉教授のご協力のもと、グランチアをベースに開発した発散型運動プログラム「FCD(フリーダムコラボレーションダンス)」がストレスや脳疲労に及ぼす効果とスポーツ実施率の向上について検証を行いました。
発散型の運動プログラムがストレスや脳疲労に及ぼす効果
本研究では、医療、福祉現場などに勤務する女性を対象に、発散型の運動プログラム(フリーダムコラボレーションダンス:FCD)が、ストレスや脳疲労に及ぼす効果について検証する事を目的とした。
対象は、医療・福祉現場などに勤務する女性33名に対し、発散型の運動プログラムを実施。グランチアをベースにした運動プログラム(FCDレッスン)を、集合対面型で「対面FCDレッスン」を週2回、web上に提供された録画映像を視聴しながら実施する「自宅FCDレッスン」を週4回、ともに4週間実施した。実施期間前後に、精神心理的指標として、脳疲労診断16ヶ条、内田クレペリン検査、POMS2、アテネ不眠尺度、生理的変化について臨床検査(生化科学検査、血液学的検査)、特殊検査(血中プラズマローゲン濃度、血中カテコールアミン濃度)を行いました。
脳疲労診断16か条による脳疲労の指標は、有意に減少し(左図)、FCDレッスン受講が7回以上の参加者における血漿プラズマローゲンは有意に増加した(右図) ことから、本プログラムにより、脳疲労の改善が生理学的にも認められた。 また、不眠状態の改善(アテネ不眠尺度による睡眠状態の評価は有意に減少した)、メンタル状態(気分)の改善(POMS2の各項目が有意に改善した)も確認された。
FCDプログラムに参加することで、脳疲労や不眠が改善し、またネガティブな感情が抑えられ、躍動感や活力などのポジティブな感情の向上が示唆された。
株式会社MIKI・ファニット 【協力】 九州大学医学部 藤野武彦名誉教授、一般社団法人プラズマローゲン研究会、下関市立大学 経済学部 松﨑研究室 、社会医療法人栄光会 、CROSSHEART、村井工機
労働力人口の減少に加え、新型コロナウィルス感染拡大により、企業はこれまで以上に従業員の職場環境の改善が求められる時代になり、改めて「健康経営」に取り組む企業が増えています。一助となれる研究を続けていきます。
FCDレッスンは、「とても良かった」が 67.9%、「まあ良かった」が、32.1%と非常に好評であった。(図上)
また、自宅レッスンの内容も、「とても良かった」が57.1%で、「まあ良かった」が42.9%と非常に好評であった。
FCD終了後の今後の運動継続について、96.5%の方が運動継続について意欲的であった。(図上)
FCDレッスンと動画による自宅レッスンの組み合わせたハイブリッド型のプログラムを実施したことで、運動実施意欲が向上したことが確認された。
・継続阻害要因について、「時間の調整」と回答した人が約80%と最も多く、次に「通うこと」が約50%、「金額」・「プログラムの楽しさ」が約30%であった。(上図)勤務形態が多様で、家事育児に忙しい、医療福祉従事者の女性が継続的に実施するには、特に、好きな時間と場所で参加しやすいプログラムであること、職場と近接した運動環境を提供すること、が促進要因になると考えられる。
・FCDレッスンでは、「リフレッシュできた」の割合が90%以上あり、最も多い。(中図)リラックス効果があり楽しめる発散型プログラムの提供が、最も効果が高かった。
・自宅トレーニングについては、「リフレッシュできた」が約50%で、リラックス効果があり楽しめる発散型のプログラムの効果が確認できた。(下図)一方、「忘れずに取り組むのに苦労した」が約70%と最も多く、自宅で運動を継続的に実施するには、自覚やモチベーションを維持することが課題になる。